会長挨拶

第58回日本臨床細胞学会総会
(春期大会)
会長 植田 政嗣
大阪がん循環器病予防センター
副所長 婦人科検診部長

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より多方面からのご支援を頂戴し、心より感謝申し上げます。

この度、第58回日本臨床細胞学会総会(春期大会)を、2017年(平成29年)5月26日(金)~28日(日)の3日間にわたり大阪中之島の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催させていただきます。本学会の大阪での開催は、2013年(平成25年)の第52回秋期大会(若狹研一会長)が記憶に新しいところですが、総会(春期大会)は2002年(平成14年)の第43回総会(植木實会長)以来15年ぶりとなります。これまでにもまして「大阪らしい」活気のある学術集会にするべく、実行委員会はじめ大阪府支部会ならびに近畿連合会の総力をあげて準備してまいりました。

テーマは「細胞診の精度管理」にいたしました。細胞診は、採取が比較的容易、患者負担が少ないなどの利点から、がん検診や腫瘍診断等を目的に頻繁に行われますが、診療方針や患者の予後に重大な影響を及ぼすため、綿密な精度管理により臨床検査としての信頼性が常に担保されなければなりません。そのためには、細胞診採取過程におけるsampling errorと診断過程におけるdiagnostic errorをできるだけ減らす努力が求められます。前者では、採取器具や採取法の工夫、後者では、標本作製や細胞判定の正確性に加えて、本学会が定める「細胞診精度管理ガイドライン」の遵守が肝要です。さらに各臓器における診断基準の標準化や国際分類との整合性の検証、細胞診従事者である細胞診専門医や細胞検査士の育成と生涯教育、その基盤となる教育研修指導体制や施設認定制度の整備も細胞診の診断精度を一定の水準に保つために必須であります。このような観点から、臨床細胞学の多岐にわたる分野で演題を募集してまいりましたが、おかげさまで指定・公募あわせて685題の多数の登録を頂きました。会員の皆様方のご協力の賜物と深く感謝しております。

特別講演としては、関西・大阪21世紀協会理事長の堀井良殷先生に「水都大阪 繁盛物語」と題して、水運によって発展してきた大阪の歴史を語って頂きます。また、大阪国際がんセンター [旧大阪府立成人病センター] 総長の松浦成昭先生には「細胞診はがん医療にどのような役割を果たすか」を、米国コロラド大学医学部の杉田道夫先生には
“Cytology to Molecular Biology, and back to Cytology”をご講演頂きます。招請講演としては、次期IAC会長のAndrew Field先生に“The IAC Breast FNAB Structured Reporting System: an Update. JSCC May 2017”をご講演頂きます。一方、共通講習としまして感染対策セミナーと医療安全セミナーを各1題、企業共催セミナーとして「子宮頸部細胞診・コルポスコピーセミナー」、「LBCセミナー」、「Human Cell セミナー」の3テーマを企画いたしました。さらに、要望講演17題、教育講演11題、特別報告1題、シンポジウム10テーマ、ワークショップ11テーマ、タスクフォース1テーマ、地域推薦演題41題、インターナショナルセッション(グローバル・アジアフォーラム、ポスタープログラム)、「いまさら聞けない細胞診断学の基本」講座(各分野別)、受賞講演、委員会報告、わからん会などを予定しております。

実習プログラムでは細胞診の観察眼を一定の水準に保つ目的で、大阪府支部会が長年にわたり取り組んできました自己採点方式スライドカンファレンスを企画しました。また、スキルアップ講座 「検鏡実習」(事前予約制)やスライドセミナー(アンサーパッド方式)を予定しております。なお、市民参加型企画としまして、「4・9の日」セミナー、市民公開講座「子宮がん検診~それは未来の私と大切な家族のために~」を開催するとともに、特設ブースを設置して口腔がん検診を実施いたします。

大阪国際会議場周辺もこの数年間でずいぶん整備され、交通も至便となり面目を一新しております。学会会期中には同会議場大ホールにて宝塚歌劇団OGによるレビューを企画しております。また、総懇親会では宮川大助・花子による上方漫才やロシア美女コーラストリオ Max Luxのショーを楽しんでいただきます。様々な屋台では「くいだおれ」の大阪の味を満喫していただきたいと思います。全国から多数の会員の皆様のご発表、ご参加を心からお待ちしています。